舞台「口紅」感想

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舞台「口紅」@赤坂レッドシアター

とあるスイミングクラブの日常をたまたま覗き見してきたような、現実感のある舞台でした。

中島、春日、江上、下平、前田、阿部、関口、金子の8人がそれぞれ、「こういう人いるよね!」と自分の身近な人に例えられるくらいリアリティのあるキャラクターで、その8人が前田の息子の死をきっかけに縺れていくお話。

隼くん演じる中島は、八方美人というか、会話の相槌が「あ〜うんうんはいはい」みたいな、知らないことでも知ったふりして適当に話を合わせる人。
でも下平(チャラい男)の発言や、江上(キレイな女の人)の行動に眉をひそめたりして、心の中で思っていることは色々あるけど、まあいいかって流してニコニコして周囲と上手くやっている。

 

前田(中島の同級生)の息子のカズキがプールで溺れて亡くなったのを皮切りに、登場人物それぞれに関係する人が立て続けに亡くなってしまう。
そこから8人それぞれの本当の姿が表に出てきたように思えました。

 

口紅は、着飾ること、とか、内面を隠していること、っていう意味で、フライヤーに書かれていた「日常の中の凶器」は、口紅で隠した下のその人の本当の姿なのかな〜と思ってみていたんだけど。

最後に綺麗に着飾った江上の唇は真っ赤な口紅が塗られていた。おそらく自殺したであろう関口も、メガネを外して綺麗にお化粧していた。
口紅から死化粧を想像した、とお友達に言われてなるほどなーと思いました。
江上のラスト(綺麗な格好をして、スタッフルームから出ていく)がよく分からなかったんだけど、死化粧と考えると、このあと彼女は死んでしまうと考えることも出来るんだなぁと思いました。

 

ラストで中島がご飯を食べる。食べることで口紅は取れる。食べるという生きるための行動をとる中島は、アイザワさんやカズキの死をまた忘れて(忘れはしないかもしれないけど)「普通に」生きていく他無いんだろうと思いました。どんなに悲しくても、中島にとっては他人の死と自分が生きていくことはどうしたって別物なんだ。

きみだって人殺してるから。のセリフからぐっと引き込まれました。ラストシーンの見せ場はとても緊張感がありました。
隼くんの繊細な演技が素晴らしかったです。

 

石田隼くん目当てで行って、心に大打撃を受けました。力の強い舞台だった。

(ラストシーンが怖すぎて、もうタマゴサンドとツナサンド食べられない…)